診療科・部門

消化器内視鏡科

当院の内視鏡検査の特徴

胃がんや大腸がんは日本人に多い病気で、がん死亡原因の上位を占めます。
胃がんの原因としてはピロリ菌感染、大腸がんの原因としては肥満や食生活の欧米化との関連が指摘されています。

早期がんの状態では自覚症状はまったくなく、また健診で行われているバリウム検査や便潜血検査でも病気を指摘することは困難です。
なによりも胃カメラや大腸カメラによる精密検査が非常に有効で、病気を早期発見できればお腹を切らずにカメラで治療することができます。

杏雲堂病院では内視鏡検査の理想を追求し、「胃がんや大腸がんでは命を落とさない!」をモットーに日々活動しています。

当院の胃カメラ・大腸カメラは「より楽に、より精密に」という内視鏡検査の理想を追求しています。その実現のために3つの要素を重要視しています。

① 最新の内視鏡システム

胃カメラ・大腸カメラは日々進化を続ける光学機器です。カメラの性能の進化には目を見張るものがあります。
画像が良くなったことで見つけることができる早期がん病変があります。当院では病気を見逃さないために最新の内視鏡システムを導入しています。
使用するスコープにはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。
検査を受ける方のがんリスクや、挿入の際の反射の強さなどを考慮して、それぞれの方に応じた最適なカメラを選択します。

② 熟練の検査医

早期の胃がん、食道がん、大腸がんはわずかな変化でしかありません。
病変をひろいあげるには熟練の目が必要となります。日ごろから早期がんの内視鏡治療に携わっている検査医が、わずかな病変を見逃しません。
カメラの挿入にも細心の注意を払い、やさしい検査を心がけています。
さらに病変を見つけた場合には正確な質的診断をつけるためにさまざまな工夫をしています。
腫瘍であるのかどうか、腫瘍であればカメラで治療できるのか手術にしたほうがよいのかなど、最適な治療法選択のために正確な診断は欠かせません。
当院の内視鏡検査では、顕微鏡診断にせまる拡大観察、特殊な波長の光を当てることで血管構造や表面構造を強調するNBI観察、軽微な凹凸を強調する色素散布、より細かい構造を評価する特殊染色などの方法を用いて高精度の検査を行っています。

③ 麻酔を使った楽な検査

胃カメラや大腸カメラによる精密検査が怖い、辛いといったお気持ちのために躊躇されていることはありませんか?
当院では患者様のご希望に応じて、麻酔を使った苦しくない検査を提供します。いままでの検査が辛かったという場合はぜひご相談ください。
検査後1時間程度の安静時間をいただきますが、ほぼ寝ている状態で苦痛なくできますので、以前のカメラ検査が辛かったと躊躇される患者様も安心して検査を受けることができます。
ご希望があれば、胃カメラと大腸カメラをまとめて同時に受けることもできます。麻酔薬を用いて寝ている間にどちらの検査も終えることができ、ご好評をいただいております。
楽に検査を受けていただくことが、見落としのない精度の高い検査に直結するのです。

施設・主な機材・看護師紹介

内視鏡室①

コンパクトな検査室ですが、必要なものがすぐ手の届くところに整然と置かれています。
大きな病院にひけをとらない精密な検査・高度な治療を行うために、いろいろなものがギュッとつまった内視鏡室です。

内視鏡室②

さらにコンパクトな検査室ですが、最新のハイビジョン経鼻内視鏡システムを導入しています。
コンパクトなお部屋に見合わない大きなモニターを2台装備し、楽で精密な検査を行っています。

検査前後の待合室

検査前後の待合室です。
大腸カメラの前処置(下剤内服)を病院で希望された場合には、こちらのお部屋で過ごしていただくことになります。
お手洗いは真向いにあります。

検査後の休憩室

麻酔を使った検査を行ったあとはリクライニングシートで1時間ほど休んでいただきます。
安全にご帰宅いただくために、適宜お声をかけさせていただきます。

主な機材

オリンパス LUCERA ELITE システム

最新の内視鏡システム。高解像度の描写、NBIなどの画像強調モードも搭載。 
カメラの能力を最大限に引き出します。

オリンパス EVIS EXERA システム

ハイビジョン画質の経鼻内視鏡検査を実現するための新しいシステム。 
苦しくない検査を追及します。

胃カメラ

GIF-H290Z:拡大観察によって詳細な評価が可能。顕微鏡検査に迫る画像診断が可能。 
GIF-H190N:ハイビジョン画質となった経鼻内視鏡。5mmの細さながら高画質を追及。 
GIF-PQ260:経口内視鏡のなかでは最も細いカメラ。 
GIF-Q260J:カメラ先端からペダルひとふみで洗浄。治療内視鏡や止血処置で威力。

大腸カメラ

PCF-H290Z:拡大観察によって詳細な評価が可能。顕微鏡検査に迫る画像診断が可能。 
PCF-H190DI:ハイビジョン経鼻内視鏡に対応する新システム専用の大腸カメラ。

  CO2送気システム

検査中の送気にはCO2を使用。検査後のおなかのはり感が大幅に軽減されます。

  VIO 200D

多彩なモードを備える高周波装置。ポリープ切除や止血時に状況に応じた最適なモードを選択。

スネア・鉗子

多彩な大きさ・形状を取り揃え、病変に応じて最適な処置具を使用します。

スコープにはそれぞれ特徴があります。
検査を受ける方の状態、ご希望、病態に応じてさまざまな機材を使い分け、あなたにとってより良い内視鏡検査を提供します。

内視鏡室看護師

皆様が安心して検査を受けることができるように親身にサポートさせていただきます。
わからないこと、不安なことがあれば、何なりとお声をおかけください。

症例紹介

カメラによる早期がんの治療

早期に発見された食道がん・胃がん・大腸がんはお腹を切らずにカメラによる治療で治癒が期待できます。
手術に比べて体への負担が少なく、臓器を温存することができるので、その後の生活の質の低下がありません。 
粘膜表面に広がる早期がんは病変を含めるように剥ぎ取ることで完全に切除することができます。
ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という治療法です。
ESDの対象となる病変はリンパ節転移の心配のない「浅いがん」です。
通常であれば翌日からご飯を食べることができ、約1週間で退院することができます。
経験豊富な内視鏡治療の専門医が丁寧に治療を行います。

症例① 早期胃がんESD(粘膜下層剥離)
症例② 早期胃がんESD(粘膜下層剥離)

胃の表面に広がる早期胃がんを剥ぐように切除しました。2か月後には治療部の潰瘍は閉鎖します。

症例③ 早期大腸がんESD(粘膜下層剥離)

表面にとどまる浅い大腸がんも、内視鏡治療の適応です。大腸の壁は薄いため慎重に処置をすすめていきます。

症例④ 早期直腸がんESD(粘膜下層剥離)

肛門のすぐ裏に広がる大きな直腸がんでしたが、カメラで病変を剥ぐことによって人工肛門を回避できました。

ピロリ菌の状態に応じた胃がんのリスク評価

ピロリ菌は胃がんのリスクだけでなく、胃・十二指腸潰瘍、リンパ腫など様々な病気の原因となります。
胃がんになった人のほとんどがピロリ菌感染者であり、ピロリ菌に感染したことがなければ胃がんになることはほとんどありません。
ピロリ菌は幼少時に感染し、持続的な炎症の結果、萎縮性胃炎という慢性胃炎に進展します。
この慢性胃炎から胃がんが発生してくると考えられています。
中高年の半数以上がピロリ菌に感染しており、そのほとんどが無症状です。
胃カメラでの詳細な観察によって、ピロリ菌の感染状況を想定することができます。
ピロリ菌感染が疑われる場合には、抗体検査や呼気試験などの感染確定のための検査を行い、除菌を提案します。除菌によって胃がんのリスク軽減が期待できるからです。
またピロリ菌感染に伴う慢性胃炎の程度によって、胃がんのリスク評価をすることができます。
胃がんのリスクに応じて胃カメラ検査を計画的に行うことで胃がんの早期発見が可能となり、内視鏡治療での治癒、ひいては胃がんによって命を落とすことを防ぐのです。

大腸ポリープ治療による大腸がんの予防

大腸ポリープには前がん病変である腺腫といわれるポリープが多く、切除することによりがんを予防することが可能です。
しかし大腸ポリープはまったくの無症状で、健診でひろく採用されている便潜血検査では大腸ポリープの有無は評価できません。
腹痛や血便などの症状がなくても、また便潜血検査でひっかからなくても、一度は大腸カメラを受けることをおすすめします。
たまたま施行した大腸カメラで大事にならずに治療できる病変が発見される方はとても多いのです。
大腸カメラ検査の際に見つかった小さなポリープはその場で治療を行います。(日帰り手術) 治療後数日間注意していただきたいことがあります。
比較的大きい病変の場合は、念のため2-3日間の入院での治療をおすすめしています。
ポリープの状況に応じて定期的に検査を受けることによって、大腸がんの予防を目指します。

症例① 大腸ポリープ(EMR)

ポリープの根本に液体をうちこみ、病変を持ち上げたうえでスネアをかけて切除します。10mmくらいまでのポリープは日帰り治療を行います。

症例② 大腸ポリープ(EMR)

茎の太いポリープ。
出血のリスクが高いため、留置スネアをかけてからポリープを切除しました。
大きなポリープは数日の入院治療となります。

医師紹介

消化器内科科長

髙野 幸司   たかの こうじ

専門

消化器内科一般、消化管疾患の診断と治療

資格等

日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医 
 日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医 
 日本肝臓学会 肝臓専門医 
 日本内科学会 認定内科医 総合内科専門医 

出身医局

横浜市立大学 肝胆膵消化器病学教室 

主な経歴

2007年に順天堂大学医学部卒業後、横浜労災病院、 
日本赤十字社大森病院、横須賀市立うわまち病院など、 
国際福祉大学三田病院 消化器内科副部長を経て2024年月より現職 

患者さんへ一言

神奈川県および東京都の地域中核病院に勤務し、幅広く消化器内科の診療に従事してまいりました。内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)では、鎮静剤や高精細の細径スコープを用いて精度が高く、負担の少ない検査を行っています。 
患者様、医療従事者の皆様から信頼される丁寧な診療を心がけております。

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