杏雲堂病院からのお知らせ

PDTの多施設共同医師主導治験の論文がOPEN ACCESSとして公開されました
PDTに関する浜松医科大学と杏雲堂病院を主体とする多施設共同医師主導治験(代表者:浜松医科大学産婦人科 村上浩雄講師)に、当院婦人科の坂本優医師(病院顧問、治験調整医師)と、馬屋原健司医師(レディースセンター長、婦人科部長)が参加した研究の論文が公開されました。
【論文タイトル】
A Multicenter Phase II Study on Photodynamic Therapy Using Talaporfin Sodium (ME2906) and a Semiconductor Laser (PNL6405CIN) for Intraepithelial Tumors of the Cervix
(子宮頸部上皮内腫瘍に対するタラポルフィンナトリウム(ME2906)と半導体レーザー(PNL6405CIN)を用いた光線力学療法に関する多施設共同第II相試験)
【概要】
目的: 高悪性度子宮頸部上皮内腫瘍(CIN2-3)に対する円錐切除術は、しばしば産科転帰を悪化させる。タラポルフィンナトリウムを用いた光線力学療法(PDT)は、光感受性が短く、子宮頸部を温存できる代替療法である。CIN2-3に対するタラポルフィンPDTの有効性と安全性を検討した。
方法: 生検でCIN2-3と診断された20歳以上の女性を対象に、前向き多施設共同単群第II相試験(jRCT2041190087)を実施した。患者はタラポルフィンナトリウム(40 mg/m 2)と664 nmレーザー照射を受けた。有効性は12週目から24週目までの細胞診/組織診により評価し、主要評価項目は85%閾値に対する完全奏効(CR)とした。安全性、HPV感染の有無、子宮頸管長、および生殖アウトカムをモニタリングした。
結果: 登録患者88名のうち79名が治療を受け、77名(CIN2:7名、CIN3:70名、年齢中央値32歳、将来の妊娠を希望する患者93.5%)が評価対象となった。CRは77名全員(100%、95%信頼区間下限値:96.2%)で達成され、CIN3では95.8%であった。高リスクHPVは82.4%で消失した。再発は1例(1.3%)認められた。重篤な有害事象は発生せず、グレード3以上の4件の事象は消失した。子宮頸管長は温存された。11件の妊娠が成立し、8件が満期出産となった。
結論: タラポルフィン PDT は CIN2-3 において優れた有効性、安全性、妊孕性温存を示し、非切除の代替手段としての可能性を裏付けています。
試験登録: 本研究は、識別子jRCT2041190087で日本臨床試験登録システム(jRCT)に登録されました。
詳細は、下記PDFをご覧ください。
